2019年度大会テーマ:「デジタル化がもたらす資本主義経済社会の進化」
産業革命期の蒸気機関は工場制機械工業を生み出し,様々な産業の飛躍的な発展を可能にしただけではなく,当時の人々の意識・生活,社会制度・構造にも大きな変革をもたらしました。技術は常に変化していますが,新しい技術が人々の意識や社会制度・構造に大きな影響を及ぼすことは稀な事態です。
われわれは今まさにそうした事態に直面しているという指摘が多方面からなされています。資本主義の高度化が進んでいると考える「第4次産業革命」論や資本主義が新たな段階に入ったという「ソサエティ5.0」論などがその代表です。いずれの議論もデジタル化のインパクトを強調しています。
デジタル化がもたらす様々な効果・可能性が既に指摘されています。デジタル化が推し進められた生産現場では効率性が飛躍的に向上し,ビジネスの仕方自体を大きく変化させてしまうことが予想されます。「スマートグリッド構想」はその代表的な例です。また,貨幣のデジタル化は決済機能の効率性を劇的に向上させますが金融政策による市場のコントローラビリティを弱めるという可能性も指摘されています。デジタル化はシェアリングエコノミーを確立させ,消費者余剰を拡大させる一方で投資を抑制する効果が指摘されています。さらには,デジタル化はプライバシーの感覚,クラブ財の領域を変化させたり,不平等な立場にある者同士で行われる商品交換とは対照的に自由でかつ平等な立場にある者同士の交換の場を提供するとも言われています。
デジタル化には歓迎すべき効果と歓迎しがたい効果があります。今後デジタル化が推し進められる中で,資本主義社会はどのように進化していくのでしょうか?
【延期大会】
2020年5月23日(土)・24日(日)
【会場】
オンライン開催(Zoom)
【大会参加費】
無料(学会員)